一人だけの老後~老齢単身の不安~生涯独身の損得
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- 若い時は格好良く結婚への執着もなく仕事でも趣味で自己本位に生きてきた。気が付いたら高齢者。
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http://mainichi.jp/articles/20161009/ddm/013/040/005000c
遠距離家族
単身親族編 老後、支える側の不安増し
毎日新聞2016年10月9日 東京朝刊
エンディングノートを前に、死後のことをめいに話す和江さん(手前)=岡山市内で、反橋希美撮影
未婚や離別で、単身のまま老後を迎える人が増えている。たとえ近くに住んでいても、親族との間には心理的距離が生まれがちだ。きょうだい、おい、めいは、身近な高齢シングルをどう支えたらいいのか。
●保証人はめい
岡山市で1人暮らしの和江さん(75)=仮名=はお盆前、めいで会社員の敬子さん(46)=同=と額を突き合わせていた。独身の和江さんは「周りに迷惑をかけたくない」と「終活」を進めているが、入院時の手助けや死後のことは、市内に住む敬子さんら2人のめいを頼りにしている。
「老後」を考え始めたのは会社の定年を控えた50代。墓のことで親族に面倒をかけないよう、散骨プランのある葬儀会社の会員に。3年前にはサービス付き高齢者住宅(サ高住)入居を申し込んだ。こうした老後プランを聞き、めいは保証人を引き受けた。敬子さんは「できることはしたいと思っていた。自分で準備してくれて助かる」と話す。
●「準備どこまで?」
不安もある。敬子さんの母も1人暮らしで、夫の両親は昨年相次ぎ入院。もし、和江さんが要介護状態や認知症になったら、もう1人のめいと手続きや世話をどう分担するか。同時期に敬子さんの母や夫の両親の介護も必要になったら−−。「どこまで何の準備をしておいたら大丈夫なのか知りたい」
●頼れる先分散を
今後、同様の問題に直面する人はぐっと増える。国立社会保障・人口問題研究所によると、50歳までに結婚したことがない人の割合を示す「生涯未婚率」は、1960年に男性1・26%、女性1・88%だったが、2010年には男性20・14%、女性10・61%。離婚率も90年代に急上昇し、高止まりしている。
東京都健康長寿医療センター研究所研究員の平山亮さん(家族社会学)は、単身者のきょうだいによるサポートの問題が顕在化している60〜70年代半ば生まれの人たちを「きょうだい不安世代」と呼ぶ。「その親たちの世代は多産少死の時代に育ち、経済成長も重なって、大勢いるきょうだいがそれぞれに家庭を維持でき、助け合えた」。しかし、不安世代が成人した90年代以降、不況で労働環境は悪化し、非正規雇用が拡大。若者の就労状況は不安定なまま固定化し、きょうだい間でも格差が生まれた。「不安世代は支える側のきょうだいが少なく、生活に余裕がないのに、社会は依然として家族にセーフティーネットの役割を期待する。この矛盾が、きょうだい間に葛藤を生む。老いや貧困の問題を家族の中に閉じ込めず、頼れる先を分散できる社会保障の仕組みに変える必要がある」と強調する。【遠距離家族取材班】
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