年金受給開始時期の正しい選択?
と言っても事務手続きの話ではありません。繰り上げ受給、繰り下げ受給の選択の問題です。
繰上げ受給は、受給開始年齢を早くするもので、早める代わりに受給額は少し下がりまた幾つかの条件で不利益を受ける可能性があります。受給額が下がる程度は繰り上げの年数に依存します。
繰り下げ受給は、受給開始年齢を遅くするもので、遅くする代わりに受給額は上がります。また繰り上げのような条件面で不利益を被ることはありません。
標準受給開始年齢は現在65歳ですが、繰上げは幾らは止めても60歳より早くすることは出来ません。繰り下げも70歳までです。繰り下げを75歳まで延長できる制度についての検討が進められています。
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受給総額の見積もり
生きる年数と受給額を掛け算すれば簡単に出ます。分かりやすいグラフなど図表に表したものが出回っています。当然ですが、長生きすればするほど繰り下げが有利。クロスポイントは確か80歳前後に来ます。損得が出るのは80歳を過ぎてからの話です。
年金の使われ方
年金は指定の口座に振り込まれ、引き出して使う。振込みは国がやるが、引き出して使うのは自分と思い込んでいたら間違える。
引出を他人(家族も含めて)に頼み自分で使うから、やがて、引き出すのも使うのも他人になる。他人が使うといっても自分のために使ってくれることが基本だが、それもやがては必ずしも自分のためじゃないことに使われる。口座の管理権は既に自分でなくなっている。
他人の不正利用は事件になって報道もされるが、家族の場合は事件にも何もならない。普通のことだ。年金の用途はほぼ決まっていて受給者が自由に使えるものではなくなっている。ケアする人たちの都合が優先する。既にケアを受けているかどうかは関係ない。
- A.受給者の自由意志で使える期間
- B.受給者の自由意志では使えない期間
A+Bがシミュレーションの比較に使われる数字。受給総額の前提です。自分の祖父・祖母・父母・兄弟姉妹・親せきの人たちを見れば、自分で主体的に動ける時間は限られていることがわかるでしょう。
病院とかケアセンターに収容されてしまってからでは、お金の意味は全く変わってしまいます。お金をお金の価値にふさわしく使える期間は短いのです。
一生の間、死ぬまで貯金に励みたい人は出来るだけ繰り下げしてできるだけ長生きすることです。死ぬ瞬間には膨大な数字が通帳にプリントされるでしょう。この人は、A+Bで発想してOK[です。
- 年金も貯金して残す人たち。
お金を使うには元気が必要。下世話な欲望も必要。お金はあるだけ使えばよい。この人はAに着目して発想します。
- 年金を毎月使い切る人たち。
一泊以上の旅行、自転車での外出、自動車の運転、パソコン利用などが何歳まで可能か。90歳まで自信があっても周りは放っておかないだろう。どんなに元気でも自由に出来るのは80歳とか85歳が限界だろう。結局、比較グラフの後半は余り意味がない。
<結論>
もらえる理由、条件、状況があれば、1日でも早く受給開始を申請する。
貰った年金は月度内、年度内に使い切る。
決して年金ビジネス(年金詐欺、年金集り)には乗らないこと。決して借金しないこと。年金の範囲で所定の期間を楽しむのだ。年金が2ヶ月ごとに支給されるなら1ヶ月目で使いすぎて街金で借金するのは破滅の始まり。
借金対策として、貯金はしなくて良いが、プールは必要。プールのサイズはミニマム1~2か月分。精神的安定のために、大きくしても良いが最大でも10ヶ月または12ヶ月分にしてください。プールを適切に運用するには十分な自制心が必要です。余裕金と混同してはいけません。ただのバッファです。時間差を作っているだけです。
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