- 公的年金改革
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014111202000144.html
公的年金改革 高齢者の貧困を防げ
2014年11月12日
政府は厚生年金、国民年金などの改革議論を進めている。給付水準を抑制する仕組みを強化することが柱だが、最低所得保障である基礎年金の目減りによる、老後の貧困を防ぐ手だてが必要だ。
年金改革は五年に一度の財政の長期見通しを受け、議論が開始された。政府は来春の通常国会への関連法案提出も視野に入れる。
見直しの柱が給付水準を抑制する「マクロ経済スライド」という仕組みの見直しだ。年金額は物価や賃金の変動率に応じ、毎年改定される。物価の上昇分から少子高齢化を考慮した分(1・1%程度)を差し引く同制度は二〇〇四年の改革で導入された。
ただ、物価が下がるデフレ下では、マクロ経済スライドは発動しないため、実施されたことはない。これをデフレ下でも実施できるよう、強化しようとしている。例えば1%物価が下がれば、金額は2%超下がることになる。
「将来世代の給付水準を上げる」(厚生労働省)ことが狙いだが、問題は全国民が共通して加入する基礎年金の水準低下だ。
年金財政の長期見通しによると、基礎年金の水準は約三十年後、約三割下がる。現在、四十年加入で一人あたり月約六万四千円なので、現在価値に割り戻すと四万五千円程度になる。基礎年金のみの国民年金加入者は全体の三割弱。こんな額で老後の所得保障機能は果たせない。
また、加入期間が短く五万円未満の受給者も三割超いる。見直しは、低年金者の生活に大きな打撃を与えることになる。
厚労省は基礎年金底上げのため、加入期間を五年延長し、六十五歳までとすることも検討する。だが、六十代前半で保険料を払える人がどれだけいるのか。
高齢化で、医療、介護保険料も上昇し、自己負担引き上げも、次々と押し寄せる。年金受給者の実質手取り額はどんどん減る。
六十歳以上の生活保護受給者の割合は年々増加し、全体の五割を超えている。高齢者の貧困拡大が近い将来、顕在化すると専門家らは指摘する。
貧困を拡大させないために、税で賄う「最低保障年金」のような制度の創設や、困窮した高齢者向けの住居手当など新たなセーフティーネットが必要ではないか。併せて、保険料や自己負担を低所得者は大幅に軽減する。
年金、医療、介護の各制度を横断的にみて、老後の所得保障を早急に点検すべきだ。
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日本は見たところ段々と悪い国になっていくようだ。驕りと堕落。取り分け内助の功たる公務員の無様が民間の頑張りを台無しにした。年金をもらう頃にようやく気付く国民の無念。如何ほどか?。
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